2011年10月15日土曜日

交野・枚方・高槻(1) 機物(はたもの)神社

10月15日に、大阪府の北東部、交野市、枚方市、高槻市に行ってきました。
目当ては二つ。一つは、交野、枚方周辺は、百済からの帰化人が多く住んだところらしく、万葉集でたくさん歌われている七夕歌と七夕行事の発祥地と言われている。
白川静の「後期万葉論」によると、これらの七夕歌は、実際に「たなばた」の行事をおこなう場で歌われたらしい。
その痕跡をたどりたいと言うことだけど、車を持たず、公共交通機関だけ使って訪れるには限界が有って、主なものだけ訪れることができた。

まず、機物(はたもの)神社。七夕の織姫様を祀る神社です。



京阪の交野市駅から、京阪バスで行けば、10分ほど。便数は、多いとは言えないが、そこそこに出ている。
長い参道は、七夕の時は、多くの人と露店で賑わうらしいが、我々が行ったときは、静かなもの。ただ、10月16日が秋の祭礼の日らしく、訪れた15日はちょうど、境内で小さな山車の準備が進んでいるところでした。

参道を終わって、本殿を巡る玉垣の所に、万葉集の七夕歌の石碑があった。

棚機(たなばた)の
五百機(いほはた)立てて織る布の
秋さり衣 誰か取り見む  (万葉集10-2034)

織機(たなばた)をいっぱい並べて、(彦星のために)織る布の、秋の衣は、誰が世話をするのだろう。
年に一度の逢瀬を喜ぶというよりも、残りの会えない日々への愁い、寂しさが出ている歌である。

「後期万葉論」によれば、万葉集には、全部で133首もの七夕歌が収められている。
そのうち、巻十に「秋雑歌」として88首がまとまって載っている。七夕が秋の歌と言うのは、ぴんとこないが、旧暦の7月は秋の初めである。
その歌群のはじめは、人麻呂歌集の38首で、次の詠人未詳歌群の最初の歌が、この神社の石碑に、万葉仮名で刻まれている。

御祭神は、御祭神は天棚機比売大神(あまのたなばたひめ)、栲機千々比売大神(たくはたちぢひめ)、地代主大神(ことしろぬし)、八重事代主大神(やえことしろぬし)の四神である。


天棚機比売大神が、織姫様のことで、日本で唯一、織姫様をお祀りしているとのこと。
栲機千々比売大神は、天照大神の御子の天忍穂耳尊(あめのおしほみみのみこと)の后神で、天孫降臨をした瓊々杵尊(ににぎのみこと)の母である栲幡千々姫(たくはたちじひめ)のこと。
地代主大神と八重事代主大神は同一の神で、神話では、天孫降臨した神々が出雲で大国主命に国譲りを迫ったとき、大国主命の息子の事代主(ことしろぬし)が、国譲りを承諾したことになっている。

京阪電車を、交野市から枚方市に向かうと、途中で比較的大きな川を渡る。
この川が「天野川」で、七夕の「天の川」にあたる。天野川には縫合橋(あいあいばし)がかかっている。
枚方市の天野川を挟んだ高台に、かつて彦星を祀る「中山観音寺」があったらしい。今はその跡地に「牽牛石」が置かれている。
七夕には、この牽牛と機物神社の織姫が天野川の逢合橋でひとときの逢瀬を楽しんだと伝えられている。

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